(#006) 2003.10.21

復刻シリーズ第46弾!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2003.10.21 Vol.057 ━━━━━
 ☆☆★★★
 ☆☆★☆☆ 日刊「SOHOのツボ!」
 ★★★☆☆              http://www.soho-union.com/soho/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                        配信部数 799部

「ソフトエンジニアの雇われない生き方」(#006)
                                                          福井修@Fsys

【○】本日のお題   家庭 & Home Office           ━━━━━━━━━━━━

こんにちは福井です。10月も後半で寒くなって来ましたが、6回目です。

前回 注1)  『  人脈は、お金で買えない財産。努力で増やすことはできる。 』
と書きました。

本日は、家庭 & Home Office についてです。また新しい業態にも触れます。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 独立を支えるもののひとつは 家庭
────────────────────────────────────
 サラリーマンから、独立自営へのシフトには、いろいろなハードルがあります。
リストアップしてみましょう。
1.志
2.仕事(収入)
3.家庭
:
まあ 『 志 』さえあれば、ハードルは越えてしまえるわけですが、その志を支
える要素に「家庭」があります。本人の意志を前に「押す」のか、後ろに「引っ
張る」のか、結構重要な要因となります。

私の場合、独立したのは35才で、結婚7年、子供が上が5才、下が3才の時で
した。まあ 遅くもなく早くもなく、それなりに準備が整ったところだったと言
えるでしょう。

人生においては、年齢なりに最大関心事がある思います。就職前は、就職が関心
事ですし、次は適齢期には「結婚」が最大関心事になります。結婚すれば次は、
子供です。育児も、それなりに人生の一大事ですから、エネルギーは注がないと
いけませんし、それが一段落する頃は、ひとつのチャンスでしょう。

まあ育児は、母親まかせ というパターンもありでしょうが、私は、子供が大好
きなものですから、そのプライオリティは、very high でした。

あまり同時に テーマをいろいろかかえると、手がまわらなくなりますから、順
番にこなして独立の 「機が熟す」というか「準備が整う」というのは、大事な
ポイントだと思います

あとは、独立に対して配偶者がどういうスタンスをとるかです。

私の場合は、「 収入さえちゃんと確保してくれるなら、全くOK。あなたのお
好きなように。 但し 人を雇うのだけは、やめてね 」でした。

まあ家庭を守る主婦としては『収入』は最大関心事ですから、当然でしょうね。

あと会社を卒業していった方々では、結構会社を始めるのも当然のような状況は
ありましたが、私は、「人は雇わない」という条件を守って、自分が食って行け
れば、それでエエヤンとまあ気楽なスタンスで、独立できた訳です。

結局「家庭」という視点でも「収入を確保する」というのは、独立を支える最大
のテーマとなります。お金まわりは第3回 注2)で話題にしました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ SOHO と 作業場所 と 家庭
────────────────────────────────────
 私は、SOHO という言葉は、ほとんど使いません。
 
Small Office というと お医者さんや、不動産屋さん、などのお店を開いていて
そこにお客さんがやってくる事業者のイメージがします。Small Businessだと企
業という感じはします。そしてHome Office というと 内職のイメージがします。

またベンチャーというのも、将来上場して「金をもうけるのだ」というのが前面
に出ている感じで、数字大好き経営指向の人向けな印象があります。

システム屋さんは、システムが実稼働するサイトでの仕事も多いので、上記のイ
メージやニュアンスには、いまひとつフィットしません。

まあ私は、今 家で自分の部屋に「基地」を構えています。マシンも旧いものも
捨てずに残っているので十数台、書籍類1000冊以上はあります。あふれたの
で、また手伝ってもらう人との協同作業場所も必要なので、協同事務所に少し移
して、そちらでも作業はしています。

ですから Home Office というのもまあ はずれてはいないのですが、あまりそこ
でお客さんと打ち合わせるということは、したことはありません。

ただ キーボードと画面に向かって、いろいろ考えたりする本業の基点は、そこに
あります。自分の部屋の自分のマシン群に向かった自分の椅子が、福井システム
リサーチの本拠地です。

 システムを創造する職人   = システムエンジニア
 プログラムを創造する職人 = プログラマ
 両方できる職人           = ソフトエンジニア

  自分の頭と手で 苦労しながら 創造 している ソフトエンジニア

という範疇は、目指すところです。生涯 現役で居たいものです。できるなら。

  デザインする職人        = デザイナー

という範疇の方々も クリエータ という意味で同業者ですね。
  
 独立自営クリエータ というまあ新しいジャンルの仲間がどんどん増えるとよい
な思っています。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 市民起業家 個人 blog
────────────────────────────────────
 SOHOやベンチャーという表現以外に、新しい事業者をくくる表現に
 
 『 市民起業家 』 という言い方があります。

「次世代情報都市社会」を構築する日本型市民起業家:
    「新しい石田心学」の構築に向けて
     http://www008.upp.so-net.ne.jp/tkatoh/shimin1.htm

これはエコマネーで有名な、加藤敏春さんが1997年頃から提唱されているもので
す。注3)

インターネットの普及で、Linuxなどのオープンソース「革命」が広まったので
すが、その源流には、もう10年以上前になりますが アルビン・トフラーが書
いた「第三の波」があります。この著作(第1の波は1万年前の「農業革命」、
第二の波は18世紀の「産業革命」)で彼は新しい産業(コンピュータ、エレクト
ロニクスなど)の台頭を位置づけ生産者(プロデューサ)と消費者(コンシュ
ーマ)に新しい融合が起こると説き「プロシューマ」という表現を作りました。
一部の仕事が再び家庭で行われる事や政治や民族国家の変化を論じたのです。

当時はよくわからなかったのですが 新しい事業者 というのは明らかその枠組み
で予測された形です。

大きな時代のうねりがあります。その大きなうねりの中で産業構造に大きな変革
が迫られており、その結果として業態自体が変化してきている訳です。

この流れに乗り遅れる人たちは「滅びて」ゆくでしょう。「大企業」でも「中小
企業」でも「SOHO」でも。まあ「個人」は、滅びようのない単位ですが。

「会社」という業態も日本ではたかだか明治以降の100年程の歴史しかありま
せんし、インターネットという新しいメディアを得た今、新しい業態へのシフト
は必然です。

コンピュータの世界も淘汰は熾烈です。IBMは70年代に君臨しました。80年代は
DEC が この世の春を謳歌しました。 90年代は Microsoftが繁栄を極めました。
Microsoftの繁栄はまだ続いていますが、Sun Microsystemsは、しんどい状況の
様ですね注4)。IBMは、LinuxEclipseで示されるように的確に時代を読んで復
活です。 いずれにしても「平家物語」でうたわれているように「奢れるものは
久しからず」で次々時代の覇者は、入れ替わります。
ビル・ゲーツさんも大いなる貢献をしましたし、リーナス・トーバルズさんが一
世を風靡し、また次のヒーローが生まれるでしょう。

「伽藍とバザール」 EricS.Raymond など注5)をお読みになると良いのですが、
伽藍方式(大組織でのやり方)からバザール方式(小さなコミュニティの寄せ集
め)への『必然』があります。「オープンソサエティ」の存在が時代を動かしま
す。

そういった「時代の流れについてゆけないところは滅びる」と思います。時代を
引っ張るのは『大企業』ではなくて『個人』です。最近の blog ( Web log 転じ
て We blog。logは航海日誌、記録)の隆盛は、象徴的ですね。注6)

物事を進めるには適当なサイズがあります。家庭で溶鉱炉は持てませんがPCで
知的デジタルコンテンツプロデュースは出来るのです。

本日のツボ

   『  家庭は志の本拠地。増えよ市民起業家クリエータ仲間!  』


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
※ 注釈、資料、参考情報
────────────────────────────────────
注1) http://www.melma.com/mag/75/m00094675/a00000046.html
注2) http://www.melma.com/mag/75/m00094675/a00000027.html
注3) 次世代情報都市社会の提唱 ―「自治総合」寄稿(97・4)―
     http://www008.upp.so-net.ne.jp/tkatoh/infonw1.htm
注4) Sun去りし後 
     http://japan.linux.com/enterprise/03/10/06/0452213.shtml
注5) 伽藍とバザール Eric S. Raymond 著 山形浩生 YAMAGATA Hiroo 訳
     http://cruel.org/freeware/cathedral.html
注6) ブログ Blog 
     http://www.atmarkit.co.jp/aig/04biz/blog.html
     個人ニュースサイト“blog”を運営する人たち
     http://ascii24.com/news/inside/2002/11/11/639851-000.html?24
     blog ってどうよ
     http://www.hotwired.co.jp/matrix/0305/
     できる!ウェブログ
     http://blogdex.tripod.co.jp/blog/
     Weblog標準に関する激論の炎
     http://www.infoworld.com/article/03/07/18/28NNrss_1.html
     ウェブログを進化させるRSSとは?
     http://www.zdnet.co.jp/news/0308/01/cjad_rss.html
     blog例 ムーバとFOMAの通話料金比較ページ ほか
     http://www.yasukawa.com/blog/Google、Toolbarの新版を発表。..blog発行が可能に
   http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0627/googlet.htmGoogle ツールバー 2.0 日本語版」の提供を開始
     http://toolbar.google.com/intl/ja/
     日本の日記連携は tDiary
     Blog が 日本でとりあげられたのは、比較的最近ですが、かなり前から
     Web日記 という形の Blog は、出来上がっていましたしなんと言っても
     tDiaryRuby で書かれたキラーアプリです。
     http://www.tdiary.net/
     http://www.tdiary.org/
     Rubyついでに「Eclipseを使ったウェブサイト製作ツール Web Publisher」
     http://webpub.narucy.com/

【近況】
関西オープンソースフリーソフト2003が10月31日11月1日に開催されます。
http://k-of.jp/
Rubyコミュニティでも自主企画「 オブジェクト指向 Ruby の実践例 紹介 」
を11/1(Sat) 16:30-17:30に実施します。http://k-of.jp/1101.html

【プロフィール】
福井 修 ( FUKUI Osamu )o-fukui@po.iijnet.or.jp
福井システムリサーチ http://fsys.net/  主幹。システム構築歴27年。
システム構築エキスパート
日本Linux協会、神戸商工会議所情報処理学会 会員
関西ソーホ・デジタルコンテンツ事業協同組合デジタルハリウッド三宮校 Java講師