(#010) 2003.12.02

復刻シリーズ第50弾! こっちも区切りが良いな

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2003.12.17 Vol.097 ━━━━━
 ☆☆★★★
 ☆☆★☆☆ 日刊「SOHOのツボ!」
 ★★★☆☆              http://www.soho-union.com/soho/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                         配信部数  854部

「ソフトエンジニアの雇われない生き方」(#010)
                                                          福井修@Fsys

【○】本日のお題   ソフトエンジニアの今後 ━━━━━━━━━━━━━━━

まいど福井です。いよいよ年末でみなさんお忙しい日々でしょうね。私もです^^

前回『  インターネット時代には、新しい業態!  』と書きました。注1)
いよいよ私の SOHOのツボは、今回で最終回ですが、本日は、ソフトエンジニア
の今後 というテーマで私自身の方向づけについても書きます。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 新しい時代の 映像編集
────────────────────────────────────
 デジタル時代の象徴 PSX 注2)がちゃんと13日土曜日に届きました。映像のデ
ジタル化が、お茶の間に入るひとつのエポックでしょう。これまで映像の編集は、
テレビ局や、映像で飯を食っている人々のプロの領域(いろいろな準備をするこ
とのできるところの)でしたが、これでぐんと敷居がさがるのではないでしょう
か。

私は、パソコンは、それなりに使いこなしているつもりですが、以前(4年位ま
え)キャプチャーカードのおまけソフトで、少しトライしてみましたが、当時は
家庭でのしろうとにはまだまだだと思いました。

今般PSXを入手してやっと家庭で、実写映像編集に挑戦できます。子供の小さい
頃撮ったVHSとかをまずは不要分をカットしたりでDVDへ焼き焼きなのですが。

そして Flashが、デジタル映像のオーサリングの敷居を下げてくれていると思い
ますので、実写映像が素材として簡単に取り扱えるようになるとインターネット
のデジタルの世界とクリエイテブな映像の世界が、また一歩近づいて世界が広が
ってゆく訳です。
それにしても写真の世界がいつの間にかもうすっかりデジタルになってしまった
気がしますし、音楽の世界もとっくにそうですし、最後のアナログの牙城であっ
た家庭のビデオの世界も遂にやっとデジタルに軸足を移すタイミングが来たので
しょう。

映像がデジタルになって身近に編集できる(簡単に操作できたり、プログラミン
グでコントロールできるようになる)と、また世の中が一歩進みます。

例えば、教育の世界は、相当変わるでしょう。

英語をマスターするのに、文字だけ、音だけ、画像だけの教材から、映像の教材
で、一方通行の垂れ流しでなくインタラクティブに学習してゆければ随分改善さ
れるでしょう。マスターするまで何度も何度も繰り返し対話学習すれば良いので
すから。

これは、なかなか興味深いです。英語だけでなく、プログラミングの分野でも同
じです。またもっと他のいろいろな分野も同じです。

優れたデジタル映像の教材で一方向でなくインタラクティブRubyJavaを学習
できると効果は大きいでしょう。オブジェクト指向などのイメージで理解する必
要のあるテーマやFlashの操作などをメールマガジンで文字で伝えるのは、はっ
きり言って困難です。画像を使って書籍や、Webで伝えるとかなりましですが、
さらにもっとデジタル映像で繰り返し学べると、まさに「百聞は一見にしかず」
が体現され理解が早いでしょう。

映像がデジタル化され、身近に編集できるということは、実はとてもすごいこと
なのだと思います

前回「インターネットとPC、携帯で、デジタル情報社会の新しい時代が始まって
います。」と書きました。携帯の分野でも、音声はもちろん、文字から、画像へ
そして映像へと続々進化していますね。映像コミュニケーションというのが、一
番情報量が多くて、なかなか準備が整うには時間がかかった訳ですが、やっと時
代がそこまで届いてきたところでしょう。

映像のデジタル化が、一番進化し、制御できているのは、ゲームの世界かもしれ
ません。

私は、ゲームの分野には、疎いのですが、この分野は日本が進んでいて、世界に
輸出できる産業であると認識しています。要するに世界中の人のニーズ(=需要)
に応えることができる有望な分野であると。

あたらしい時代は、映像のデジタル化を生かす時代です。

今 ゲームプログラミングは、閉じた独自の世界を構築している訳ですが、ここ
で培われたデジタル映像制御の技術をもっとビジネスや教育の分野に展開すると
いうテーマは、これから取り組むべきおもしろいところだと思います。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ リアルの世界とバーチャルの世界
────────────────────────────────────
 昔PC黎明期の頃「マルチメディア」という言葉が、闊歩しました。今は、当た
り前になったので、特には使われなくなりました。

その頃のマルチメディアでは、PCで音が出るだけで、すごい事でした。(遠い目

さて 映像のデジタル化を生かした分野がこれからだ と書きましたが、その為に
リアルの世界とバーチャルの世界についてもう少し、考察します。

一番リアルな世界は、狩猟・農耕の生活でしょう。自然の恵みを直接、感謝して
頂く世界。
次は、物を作る工業の世界でしょう。私は、鉄のシステム技術者が長かったです
が、目の前を流れる鉄の熱い固まりを制御していると「リアル」と感じていまし
た。
「リアル」は本物で尊く「バーチャル」は偽物で価値が低いという漠然とした価
値感があります。また汗水ながして物を作るのが「実業」で、物や金を右から左
へ流すだけの商売は「虚業」。経団連の会長は新日鐵トヨタで、商業者や金融
業者は、会長にはなれない。というのも同じ感覚でしょう。

ですから「映像」って「バーチャル」なので、本物ではない。
「映画」はあくまで「娯楽」であって「娯楽で飯が食えるか」という感覚があり
まして「ゲーム」に対してもあるのです。

しかし考えてみると、工場システム制御の分野は、所詮センサーや、制御装置、
信号線..経由コンピュータの世界でのプログラムは、「バーチャル」です。

そもそもコンピュータで、プログラムすること自体が、現実の世界をモデル化
して、実装するという「写像」すなわちバーチャルな世界の構築な訳です。

私の漠然ともっていた「バーチャルは偽物で価値が低い」という感覚はもう古く
て時代遅れであることがはっきりしました。

 コンピュータシステム自体が、リアルな世界のデジタルへの写像なのだと。

そのニーズに応えるべく社会もビジネスも変化してゆくのであって、「リアル」
や「バーチャル」という区別はあまり意味があるとは言えません。

ネットワーク上のコミュニテイが存在します。メーリングリストや、Blog トラ
ックバック 繋がりとか。これもまあ「バーチャル」な世界です。

しかし会合や宴会で、一緒に話しあうと一気に「リアル」な世界です。

話しを戻して「映像のデジタル化を生かした分野」というのは、「バーチャル」
ですね。実写の映像に対して、作り出した映像なのですから。「リアル」な世界
に対して「写した」世界は、1段バーチャルですが、創り出した映像の世界と
いうのは、もう一段さらにバーチャルですね。

結局、コンピュータ制御のデジタル映像というのは、人間の頭で創り出すことの
できる最先端な形ではないのかということ。そしてそれは、ニーズに応えるとて
も価値の高いものなのではないかということです。

映画は総合芸術と言われますが、デジタル映像の世界は、デジタルの世界の中で
も総合的な技術の結晶といえるでしょう。

「ニーズに応えること」が存在意義であり「衣食足りて礼節を知る」のであって
「もの」が潤沢にあふれる現代にあっては、次なる価値が求められているのです。

より豊かな、高次なレベルを追求してゆくのがエンジニアとしても、人間として
も、生き方「道」だと思います。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ ソフトウェアエンジニアの今後
────────────────────────────────────
 いつまでもワクワクして仕事したいですから、これまでの考察により

 ・ デジタル職人と協業して
 ・ オープンな枠組みで
 ・ リアルな世界をモデル化して(オブジェクト指向は有効なツール)
 ・ 情報をデジタルで貯めて、デジタルで流して、映像で表現し対話する
 
 という仕事をどんどんやってゆきたいものです。

本日のツボ

   『  いつまでもワクワク デジタル クリエイト!! 』

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 終わりに
────────────────────────────────────
 あっという間の10回連載でした。

 書くことは、楽しいですね。また別の執筆者の皆さんの連載を読ませて頂くの
が毎回楽しみでした。今現在は読者の皆様も是非、ご自分の SOHOのツボ を執筆
されることをお勧めします。

 読んで頂いて、誠にありがとうございました。
 
Webツボの方は、継続しますので、そちらもまたどうぞご愛読ください。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
※ 注釈、資料、参考情報
────────────────────────────────────
注1) http://www.melma.com/mag/75/m00094675/a00000077.html
     但し 改訂版は、こちら
     http://ns1.fsys.net/SOHO/20031202.txt
     
注2) PSX公式情報サイト http://www.psx.sony.co.jp/


【プロフィール】
福井 修 ( FUKUI Osamu )o-fukui@po.iijnet.or.jp
福井システムリサーチ http://fsys.net/  主幹。システム構築歴27年。
システム構築エキスパート
日本Linux協会、神戸商工会議所情報処理学会 会員
関西ソーホ・デジタルコンテンツ事業協同組合デジタルハリウッド神戸校 Java講師