2004年10月6日号

復刻第27弾!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2004.10.06 Vol.1025━━━━━
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 ■□■□■ 日刊「WEBのツボ!」
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                             配信部数 3225部
「続々 システムはオブジェクト指向 Ruby & Flash」(#007)   
                                                        福井修@Fsys.NET

【○】本日のお題 「 デジタルコンテンツ指向 」 へ             ━━━━━

10月になって爽やかですね。 まいど Fsys福井システムリサーチの福井です。 

前回は「 動きのある Flash動画 を Ruby で作る 」注1) で 感性に直接訴える
動画FlashファイルをRubyで直接生成する例を紹介しました。クリックに反応し
てくれるのがおもしろいところです。

今回は、秋の夜長に、メタに脱線して、デジタルコンテンツを考えます。

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■ 『 デジタルコンテンツ指向 』
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  最近 携帯で動画を撮影するのがおもしろくて、「デジタルコンテンツ」につ
いて考えてみました。

 関デジは、「関西ソーホー・デジタルコンテンツ事業協同組合」という名前を
もっています。「名は体を表す」のでこの『ラベル』をつけるからには『実体』
として「デジタルコンテンツ」で事業している企業や個人の集まりである訳です。

「デジタルコンテンツ」で仕事する者のひとりとしてこの言葉には関心がありま
す。まあなかなか広いものを示すので、どんな切り口で切るかによってさまざま
な現れ方をします。

そもそもこのメールマガジンは「WEBのツボ」という名前を冠していて内容は様々
ですし、「デジタルコンテンツ」も内容が様々なのは、同様でしょう。

そこでその多様さが同様なのに着目して「デジタルコンテンツ」の定義として
「 WEBで扱えるのが、デジタルコンテンツである。」
と言えるでしょう。その内容は多彩です。
「デジタルコンテンツがすべてWEBで扱える訳ではない」というのがミソでもあ
ります。

ブラウザは、マーク・アンドリーセンがモザイクでグラフィックを扱えるように
して画期的に普及し、発展し今日に至っています。モザイク以前は、文字だけし
か扱えませんでした。オフコンが文字だけの世界ですが、まだまだ現役で動いて
いる会社も沢山あるでしょう。文字だけでもその範囲で仕事はできます。しかし
今もしブラウザで文字だけしか扱えなかったとするとこれだけのインターネット
隆盛は考えられません。文字だけでなく画像が扱えるようになって、表現の次元
が上った効果はとても大きいと思います。

「デジタル」化は、序々に進展しました。まず腕時計が、数字表示して「デジタ
ル」という言い方が普及しました。その際に従来の針が回る方式を「アナログ」
と呼んで「デジタル」と「アナログ」の違いを意識したのは昔の思い出です。
パソコン(昔はマイコンでしたが)で、音が出るだけでなかなかのインパクトで
した。文字を扱うワープロ一太郎とか)から図形プロセッサ『花子』で絵が描
けるようになって凄い!と思いました。

そのあたりからパソコンのパワーアップとともにデジタル化のうねりが押し寄せ
て『マルチメディア』という言い方がありましたね。今はあたりまえになって使
われなくなりましたが。

デジタル化の進展で、今や写真はもう”普通”はデジタルになりましたし、音楽
も”普通”はデジタルでしょう。映像もビデオテープからどんどんDVDやハード
ディスクにシフトしています。

『デジタルコンテンツ』が次元が高い方に(文字から図形、図形も2次元から3
次元、白黒からカラー、画像から映像へ、音も単音から多重へというように)帯
域の広がりと共に、どんどん進化した分をちょうど携帯電話が凝縮して再演して
くれています。

高次なデジタルコンテンツの可能性は、はてしなく広がって、我々の挑戦を待ち
受けているように思えます。

本連載では『リッチクライアント』も話題にしていますが、このリッチクライア
ントの真髄は、「いかに高次なデジタルコンテンツを簡単に扱えるか」でしょう。

今後ますます情報を便利に手軽に扱うニーズに応える形で、高次なデジタルコン
テンツも扱う時代の趨勢があります。

これを『デジタルコンテンツ指向』と名づけておきます。

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■ そして 双方向に
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 文字情報だけでも広大な分野です。そして絵や写真に広がるとさらに拡がりま
す。そこまでは、紙媒体で流通できる世界です。
紙媒体で出来ることを超えたところに、音声や映像の世界があります。そしてそ
こは、放送や映画、CD,DVDメディアの世界でもあります。膨大なコンテンツの世
界ですが、これらは、制作したものが配布される一方通行の世界です。

テレビとパソコンは、ディスプレイは似ていますが、入力装置の有無すなわち対
話式にこちらから発信できるかどうかという絶対的な次元の違いがあります。

対話できる方式の方が、より高次でしょうからそちらに向かう流れがあります。

WEB利用の観点でも、発信されている情報を一方通行で見るだけの受動的な利用
から、能動的に情報を発信するために利用するという具合に受け取る側から発信
する側へと立場を超えて進展してゆきます。

WEBでの双方向での情報発信のはじめのかたちは「掲示板」でしたが、最近は、
「Blog」もどんどん普及してきています。

このBlogの普及は、WEBでの双方向コミュニケーションにとって象徴的です。

そして情報発信の際に、文字だけのコンテンツから高次のコンテンツへのうねり
もあります。Blogに載せる良い写真をとるのに新しいデジカメを買う例があるで
しょう^^

文字だけで伝える世界でも、内容の吟味はもちろんでその上にレイアウトやフォ
ントの違いなどでの表現力の追及の余地があります。文字だけでなく、画像や図
や写真が入ると表現力が全然違ってきます。どんな文章にするか、どんなレイア
ウトにするか、どんな色使いにするか、どんな画像を(作る|使う)か、どんな
図を(作る|使う)かの世界も奥深いのですが、映像でさらに次元が上ります。
音声も動きも加わりますから伝えられる情報量は、文字に比べると圧倒的です。

この映像を扱う敷居が、FlashQuickTime 注2)のおかげでどんどん下がってい
ます。

「携帯で動画を撮ってWEBに載せる」というのは、ほんとにお手軽になりました。

http://fsys.net/

に「(携帯で撮った)Fsys Office 紹介ビデオ」へのリンクを貼っておきましたの
で、よろしかったらご覧ください。


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■ Flash リッチクライアント動画例
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  携帯映像の話に脱線気味ですが、Fsysで作成したFlash動画例も載せておきま
す。
動きを伝えるのは文字だけのメールマガジンでは、無理なので、結局 Webへのポ
インタとなります。

遠隔地のデータをDB経由で、現場に表示するシステムのうちバーグラフを出力
する部分の部品をFlashで作成したものです。

デモでは、5秒周期でデータを変動させています。閲覧には、Flashプラグイン
が必要です。

http://ns2.fsys.net/fsys/bardemo.html

こんな表示も自動更新かどうかで全然使い勝手が違います。全画面がReflashさ
れる更新はありがちですが、Flashの部分更新はおいしいですね。

Flashリッチクライアント画面の例でした。

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■ まとめ
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実体をモデル化してプログラム言語で記述する「オブジェクト指向」もありです
が実体を映像などで伝える「デジタルコンテンツ指向」も効果的です。これは
デジタルウェーブの必然のうねりでしょう。

Webは、まだまだ進化の途中であるし、対話で動画をコントロール(ってゲーム
やん)する世界は、これからですね。これから。

Web対話動画は、教育の分野で、もっともっと使われるとよいですね。
「オブジェクト指向Ruby,Flash ActionScriptをデジタルコンテンツで学ぶ」
というのがあたりまえになるようにしたいものです。


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※ 注釈、資料、参考情報
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 注1) 続々 システムはオブジェクト指向 Ruby & Flash (#006)   
    「 動きのある Flash動画 を Ruby で作る」2004.09.22
http://www.melma.com/mag/02/m00020302/a00000813.html

 注2) QuickTime開発者インタビュー 3GPP2をサポートした6.5について
 アップルCasanova氏に聞く
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/interview/16973.html

 アップル - QuickTime - FAQ
http://www.apple.com/jp/quicktime/products/qt/faq.html

 アップル - MPEG-4 - 3GPP
http://www.apple.com/jp/mpeg4/3gpp/

 QuickTime - チュートリアル - QuickTimeトラック
http://www.apple.com/jp/quicktime/tools_tips/tutorials/tracks.html

 Apple - QuickTime - MPEG-4 Video Gallery
http://www.apple.com/quicktime/gallery/mpeg4.html

 3GPP規格の全容
http://www.3gpp.org/

 3GPP2規格の公式仕様
http://www.3gpp2.org/

 MPEG公式WebサイトInternet Streaming Media Alliance(ISMA)
http://www.isma.tv/home

 MPEG-4 Industry Forum
http://www.m4if.org/

【近況】
関西オープンソース2004 が大阪産業創造館で10月22日(金)、23日(土)に開催さ
れます。http://k-of.jp/
日本Rubyの会では、高橋会長(たのしいRubyRubyレシピブックの著者)より会
の紹介を,かずひこさんがHikiの紹介を,ささださんがRubyConf 2004 の参加報告
を行う予定です。皆様どうぞお越し下さい。

【プロフィール】
福井 修 ( FUKUI Osamu ) o-fukui@po.iijnet.or.jp
福井システムリサーチ http://fsys.net/  主幹。システム構築歴28年。
システム構築エキスパート
日本Linux協会、神戸商工会議所情報処理学会、関西IT共同体 会員
関西ソーホ・デジタルコンテンツ事業協同組合 監事