(#009) 2003.12.02
復刻シリーズ第49弾!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2003.12.02 Vol.087 ━━━━━ ☆☆★★★ ☆☆★☆☆ 日刊「SOHOのツボ!」 ★★★☆☆ http://www.soho-union.com/soho/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 配信部数 806部 「ソフトエンジニアの雇われない生き方」(#009) 福井修@Fsys 【○】本日のお題 使命感 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ まいど福井です。 あっという間に12月。今年も押し迫って来ました。 前回『 時代とともに人々の意識は変わり、ニーズに応じて社会の構造も動く。』 と書きました。注1) いよいよあと2回ですが、本日は、現時代認識のもとで 使命感 というテーマで これからの方向づけについて書きます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 新しい時代 ──────────────────────────────────── ニーズに応じて社会の構造も動きます。 江戸時代の幕藩体制は、明治維新で、 近代国家に様変わりしました。第二次大戦前後で社会も大きく変わりました。 蒸気機関によって産業革命が起こったという歴史観が存在します。インパクトの ある道具によって時代が変わるなら、まさにインターネットによって今現在、社 会は、更なる変革の真っ最中にあると言えます。 家のパソコンで、画面から操作するだけで、PSX 注2)が届く時代なのですから。 NTT(昔の電電公社)より もはやNTTドコモ の方が時価総額は大きいのです。注3) 1991年8月14日設立ですから、Fsysよりも新しい会社ですがね^^;; 時代が大きく動く時には、やはりこれからどうなってゆくのか考えなければなり ません。 変化の少ない社会では、膠着した秩序に従わざるを得ませんが、新しいものどん どん生まれてくる社会では、変化に対応する力をもったものの方が有利です。 1995年の Windows95の発売と商業ベースのインターネットの普及開始以前と以後 では、パソコンの位置づけは変わりました。 それまでは、オタクのマイナーな道具であったものから、使いこなせないと「落 ちこぼれ」といわれてもしかたがない不可欠な道具になったのです。 「エライひと」より「若いひと」の方が柔軟に使いこなしますから、大学などで も学生が教授に教えたり、会社で上司が部下にお伺いしたり、従来とは土俵が変 わって来ているのです。もちろん年齢に関係なく「スゴイひと」はスゴイですが。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 新しい時代の新しい業態 ──────────────────────────────────── 今までなかったものが急に現れて普及してしまう訳で、その変化に柔軟に対応で きるかどうかが、競争では、分かれ目になります。 変化に柔軟に対応するには、大きいものより小さい方が小回りは利きます。 この辺はポイントですね。組織では、新しいものを使おうとしても、管理者が舵 取りしないとその方向へは、動けません。 大企業では、関係先が多くて、調整が難しくなりがちです。例えば Linux の全 面採用を IBM は2000年には表明して、動き出していました。結局富士通も2002 年末には「基幹サーバー戦略をLinux中心に大転換」を打ち出しましたが、2年 以上の差があります。雑誌で記事が紹介され、先進個人ベースでの Linuxへのシ フトは1998年には始まっていましたから4年かかっています。 大きなタンカーの舵を切って方向転換するのと、オートバイで方向転換するのと どちらが小回りが利くかは、明らかです。 小さな方が、変化に対応しやすいので有利です。 大きな設備が必要な仕事は、大きな組織が必要ですが、大きな設備を必要としな い仕事もあります。 PCがあってネットでつながっていれば、どこでも出来る仕事があります。 例えばソフト開発やデザインの仕事は、喧噪な場所より、クラシックが流れる カーペット敷きで、資料やネットへのアクセスに優れた環境の方が、仕事は、 はかどります。また時間の融通が利く方が効率が上がることもあります。 遅くまで仕事しても、朝はゆっくり空いた電車で座って通勤。会議や重要でない 資料作りに時間をとられない。社内政治よりプロダクツ創造。 新しい仕事をするのに、新しい業態はありです。 第6回 家庭 & Home Office 注4) で 『 家庭は志の本拠地。増えよ市民起業家クリエータ仲間! 』 と書きました。 職人が連帯する「ギルド」という形態が、中世ヨーロッパで存在した訳ですが、 現代でもその形態は参考になります。なぜ衰退したもかも含めて。 中小企業が新規にWebサイトを構築しようとする際に、発注の窓口となる担当者 は、総務系の方であったり、企画系の方であったり、経営者の方であったり、い ろいろなケースがあるでしょうが、Webプロデュースのプロであることはまずな いでしょう。そうするとまあ近くの情報からどこかの企業に、打診することにな ります。 その際に、直接企業にというパターンもありですし、組合にというパターンもあ りでしょう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ オープンソースのうねり ──────────────────────────────────── Linuxで象徴されるオープンソースへのうねりがあります。 Windowsの登場は、革新的でした。インターネットサーバの土俵では、商用Unix に対しては Windowsは新規参入者であったのが、デスクトップの土俵に対する Linuxの台頭に対しては守勢になります。 安くて良い物へのニーズがあるわけで、そのニーズに誰が応えるかの競争です。 オープンソースの神髄は、無料ではなく自由であることです。注5) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 使命感 ──────────────────────────────────── 社会を引っ張るのは、見通しのきく個人の意識です。これは、インターネットの 新しいメディア(Web、メーリングリストや掲示板、そしてさらに新しくBLOG..) が、加速しているのは確かです。そして前向きに時代を動かして行く組織として の形にベンチャーという名前が、与えられています。 ベンチャーが会社の形態を採る限り、株主への利益の献上が、使命になります。 株主の利益の為に、一生懸命働くのもひとつの生き方ですが、そうでない選択肢 も存在します。それは、ひとつは『個人事業』であり、また法人格を得る方式で も『企業組合制度』という制度があり個人が4人以上で資本と労働を持ち寄り、 自らの働く場を創造することもできるのです。注6) オープンソースでのシステム構築を、企業組合で推進するというのは、面白いテ ーマです。 私は、今までもまあ新しい道を歩んできましたし、これからも道を切り開いてゆ くというコースを歩んで行きたいものだと思っています。 いつまでもワクワクして仕事したいですものね。 本日のツボ 『 インターネット時代の新しい業態の推進 』 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ※ 注釈、資料、参考情報 ──────────────────────────────────── 注1) http://www.melma.com/mag/75/m00094675/a00000077.html 注2) 私も注文しました^-^) http://psx.jp.sonystyle.com/ 注3) http://rank.nikkei.co.jp/money/caphigh_w.cfm 注4) http://www.melma.com/mag/75/m00094675/a00000057.html 注5) 日経バイト 2003年11月号 「オープンソースの魔力」参照 http://store.nikkeibp.co.jp/mokuji/nby246.html 注6) 企業組合制度 http://www.chusho.meti.go.jp/g_book/guidebook139.html 【プロフィール】 福井 修 ( FUKUI Osamu )o-fukui@po.iijnet.or.jp 福井システムリサーチ http://fsys.net/ 主幹。システム構築歴27年。 システム構築エキスパート 日本Linux協会、神戸商工会議所、情報処理学会 会員 関西ソーホ・デジタルコンテンツ事業協同組合員 デジタルハリウッド神戸校 Java講師